医療健康系サイトを取り巻く環境
WELQ問題をきっかけに激変した医療系サイトを取り巻く環境は、2017年12月のGoogleアップデートで個人の運営する医療健康系ブログが検索結果に上位表示されなくなり、病院などの医療機関や厚生労働省等の公的機関が運営するサイトが上位を占めるようになりました。
それ以降もアップデートが重ねられ、YMYL(Your Money Your Life)ページと呼ばれるような「健康や幸福、安全、経済的安定など人生に大きな影響を及ぼす情報」を含むページについては独自の評価基準を適用するとGoogleは公言し、金融系サイト、医療系サイト、法律サイト、オンラインストアなどがその対象となっています。
これらYMYLページ対する特別な評価基準とはなにか。
それはEATと呼ばれる3本の柱です。
A:Authoritativeness(権威性)
T:Trustworthiness(信頼性)
これら3本柱が含まれているサイトを優先的に上位表示しますよということです。
専門的な内容かどうか、サイトの内容や運営者に権威があるかどうか、内容は信頼できるかどうか。
このような流れで個人で運営する医療健康系ブログはもう終わったとの声がささやかれる中、私の運営する医療健康系ブログも大きく検索順位を落としアクセスが激減しました。
医療健康系サイト復活への考え方
上でも書いたように、現状でYMYLページのSEO対策はサイトにEATを持たせることになります。
そのために医療系サイトであれば以下の2点が重要であることが想像できます。
・病院などの医療機関のHPからの被リンク獲得
・優良な関連ページや参考文献への発リンク
これによってGoogleは権威性や信頼性を評価していると考えられ、逆にこれ以外の評価指標で権威性や信頼性を評価することは難しいような気がします。
実際、現在上位表示されているサイトはこのような被リンクを多く獲得していますから。
しかし、特に病院のサイトなどからの多数の被リンク獲得は、個人で運営するブログにはなかなか難しいのではないでしょうか。
そもそも長期的に見た場合、一般人には難しい専門用語ばかりのサイトが検索上位を占める現状のアルゴリズムがユーザーの利に叶っていない事は明白ですので、このようなアルゴリズムはいずれ補正されると考えられます。
すると、現状の検索順位を上げるためだけのSEO対策は労力的にも割に合わないというのが私の考えです。
このような基本方針のもと、私が行った4つの対策について紹介します。
医療健康系サイト復活のための4つの対策
1.医療系記事をnoindex
私の運営する医療健康系ブログは、
①病名をキーワードにしている記事
②一般的な医療情報に関する記事
③体験談を交えた健康情報に関する記事
に関する記事と3種類に分かれていて、①以外は生き残れると考えました。
しかし全ての記事で検索順位を下げてしまったのは一部の医療系バリバリの記事がブログ全体の評価を落としたからと考えられます。
ですので、とりあえずガンや生活習慣病など病名をキーワードとした記事やカテゴリを全てnoindexとし、他の記事が悪影響を受けない対策を行いました。
ブログ全体の評価を落としそうな可能性のある記事全てをまずはnoindexして、その他の記事の検索順位が上がってくるか観察します。
その後、順位が改善してきたところで、復活の可能性のある記事から少しずつnoindexを外していきます。
noindexを外してサイト全体の順位が下がればまたnoindexをつけて・・・とトライ&エラーの繰り返しです。
2.Google以外の検索エンジンの検討
今回の医療系アップデートによる変更は、当然ですがGoogle独自のものです。
Googleのシステムは日本ではYahooも採用していること、および日本での検索エンジンのシェアはGoogleとYahooで独占状態であることを考えると、日本で医療系サイトが生き残れていない現状は当然かと思います。
しかし日本で検索エンジン3番手Bingでは、このような医療系サイトのアルゴリズム変更は行われておらず、Googleと全く異なる基準で評価されています。
それは私のブログを見れば明らかで、GoogleとYahooの検索順位が圏外に飛んだ記事でもBingでは高い順位を取っているものもあります。
下のグラフはGoogle(青)とYahoo(赤)で圏外に飛ばされた医療系記事ですが、Bing(緑)は逆に飛ばされた日を境に10位以内にランクインし、現在は3位になっています。
つまりGoogleとYahooでは同じアルゴリズムを採用しており、同時期に圏外に飛ばされていますが、Bingは全く異なるアルゴリズムを採用していることがわかります。
Bingでも検索順位が低ければそもそも記事の質が低いと考え、医療系ブログとか関係なく根本から記事の作成をやり直しましょうね。
では現状数%のシェアしかないBingで検索順位を上げる意味はあるのでしょうか。
・Windows10のブラウザEdgeで標準装備
・アメリカや台湾のYahooはBingのシステムを採用
・iPhoneのSpotlight検索はBingを採用
このようにMicrosoftが運営する検索エンジンBingは高い将来性を秘めています。
そもそも日本のネット検索市場をGoogleが独占している現状が良いとは考えにくく、そもそも日本には独占禁止法という法律もあります。
そのようなGoogle一強の構図は将来的に変化する可能性は十分あり、ユーザーにとってもGoogle一社の基準で検索することのデメリットは、公的機関の難しいサイトしか上位表示されていない現状で認識している人も少なからずいるのではないでしょうか。
まずはBingのウェブマスターツールでサイトマップの登録をしましょう。
Googleサーチコンソールにサイトマップを登録している人は多いと思いますが、その他の検索エンジンにサイトマップを送信している人は少ないと思います。
Bingのウェブマスターツールにログインしてサイトマップを登録しましょう。
3.SNSの活用
今では検索エンジンに次いでSNSの影響力も見逃せません。
LINE、Twitter、Facebook、Instagram、mixi、などなどSNSの良い点は、その情報を知りたい人に特化して仲間を集めることができる点です。
EATを持たない一般人の書いた医療系サイトはGoogleに見向きもされなくても、例えばTwitterを使って医療用語や病名で検索して引っかかった人に片っ端からフォローしていくことで、関心のありそうな人を集め、知ってもらうことができます。
最初は地道な作業になりますが、効果は徐々に出てきます。
見逃されがちですが、Facebookのシェアによる拡散効果は絶大なものがあります。
私のサイトで、毎日のアクセスが100PV程度から急に300PV程度まで突然上昇したことがありました。
原因をサーチコンソールで調べてみると、影響力のある人がFacebookでシェアしていたことがわかりました。
Twitterのリツイートもそうですが、拡散が拡散を呼び、雪だるま式にアクセスが集まることもあります。
しかも一時的な爆発力だけでなく、その後はベースがアップし、アクセスが底上げされます。
Googleに見向きもされない医療健康系サイトでも、本当に価値のある情報があればしっかりSNSで拡散されていくでしょう。
そしてSNSでの集客が十分できてくれば、Google様のご機嫌取りをせずとも、書きたい内容や情報を気兼ねなく発信することができます。
結局、細かいSEO対策を気にするよりも、読む人にとって有益な情報を盛り込んだユーザーファーストの記事を書くことを第一優先で考えていれば、いずれアクセスは集まるんだなというのが、Facebookによる記事の拡散で感じたことでした。
実際、Googleもユーザーのためになるサイトを上位表示させると言いつつも、今回の医療健康系サイトの冷遇のようなケースがあり、個人ブロガーなどはユーザーに真正面に向き合えず、少しGoogleの評価を意識した内容になりがちですが、やはり100%ユーザー目線でサイト構築していけばよいと感じた経験でした。
4.海外展開の検討
2017年12月の医療系アップデートはGoogle独自のものであると書きましたが、正確には「日本の」Google独自のものです。
その後の健康アップデートもいくぶん海外でも影響はあったようですが、主に日本での影響が大きくなっています。
つまり海外では個人の医療系サイトでも日本よりは安泰なのです。
そしてなによりも海外でのサイト運営は日本とはアクセスの桁が違います。
特に英語でサイトを作って英語圏で運営した場合、メリットは大きいと思います。
・医療系サイトでも日本ほどEATだけで評価されない
・アクセスの桁が違う
しかし、英語でサイトをつくることの労力は半端なものではありません。
英語がネイティブでない人が作った文章はネイティブチェックも必要でしょう。
それでも私はやるメリットの大きさを考え、現在英語で医療系サイトを構築中です。
・サーバーはどうする
例えばアメリカ限定でサイトを運営するならスピード的にアメリカにサーバーを設置すべきですが、英語サイトを作った場合に英語圏はアメリカだけではありません。
オーストラリアやカナダ、ニュージーランドなども英語圏です。
なのでサーバーはとりあえず現状のまま、日本のサーバーで運営しましょう。
今後スピードのデメリットは減っていくと思われますので。
・サブドメインでのサイト構築
日本で運営していた医療系サイトの独自ドメインから派生したサブドメインで英語サイトを作りましょう。
ただし、「noindex対策によってYMYLページ以外の記事が上位表示されるようになれば」という条件付きです。
ルートドメインが低評価なままでサブドメインで英語サイトを作ってしまうと、その低評価の影響を受けてしまう恐れがあります。
その場合は新たに独自ドメインを取得して運営すべきですが、そもそもnoindex対策で順位が改善しない場合は記事の質が低いことになりますので、YMYLに関わらず記事の基本的な書き方とか、基礎的SEOとかそのあたりからやり直すべきです。
・検索順位の上がらない医療ページから英語化
Google翻訳などで地道に英語化していく努力が必要になりますが、最終的には英語を母国語とする人にチェックを受けたいです。
・Googleサーチコンソールで対象となる国を設定
ドメインが「.jp」の場合は、設定する前に「日本」と認識されてしまいますが・・・。
まとめ
2017年12月に実施された医療健康系アップデートはほぼ「日本のGoogle」限定の措置であることを忘れてはいけません。その後の健康アップデートでも海外より日本の影響が大きいのです。
現状の医療情報検索の使い勝手の悪さを考えるといずれ改善されるであろう事、さらに将来的なGoogle以外の検索エンジンの台頭、サイトの海外展開まで視野にいれると、今回の変更はあまり気にしすぎる必要はないように思います。
ユーザーファーストを謳っているいるGoogleが、ユーザーファーストになっていない現状を変更しようと考えないはずはありませんし、直近の検索順位を上げるためだけのSEO対策を行うことに労力を使うよりも、長期的視野で対策を行っていくべきと判断します。
私の運営する医療健康系ブログもとりあえず長期的な視点で現状できる対応はとりました。
今後運営報告をしていきます。
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