日本の銀行が苦境に立たされる危機的状況
現在、3大メガバンクをはじめとする日本の銀行は,大規模なリストラや店舗の統合などを進め、経営状態の改善に必死で取り組んでいます。
地方銀行は今後、多くの銀行が赤字に転落するのだとか。その原因を見てみましょう。
長引くデフレによる超低金利
銀行は預けられたお金を、より高い利率で貸してその利ザヤで儲けています。
しかし現在の超低金利状態では高い利率で貸し出すことが難しく、利益が少なくなっています。
銀行間での低金利競争が激しすぎて、金利で稼げなくなっているのです。
日銀のマイナス金利政策
銀行が日銀にお金を貸すと、以前は日銀から利息が入ったのですが、マイナス金利となり逆に利息を支払わなければなりません。
日銀の狙いは、お金を預けておくのではなく市中に出してどんどん使われるようにしたいということです。
しかし現実はなかなか貸し手が見つからず銀行はお金を余らせています。
このような状況で銀行が預かっている預金は行き場を失い、銀行はリスクのある投資(外国の株や債券など)にお金を振り分けています。
過去に日本で倒産した銀行
1998年 日本長期信用銀行 破綻
1998年 日本債券信用銀行 破綻
1999年 国民銀行 破綻
1999年 幸福銀行 破綻
1999年 東京相和銀行 破綻
1999年 なみはや銀行 破綻
1999年 新潟中央銀行 破綻
2001年 石川銀行 破綻
2002年 中部銀行 破綻
2003年 足利銀行 破綻
2010年 日本振興銀行 破綻
このように銀行が倒産するのは珍しいことではありません。
1997年の北海道拓殖銀行の破綻は衝撃的でした。
都市銀行が破綻することで、関係会社などが連鎖的に倒産していきました。
そして近年では日本振興銀行の破綻があります。
このとき初めてペイオフが発動されました。
ペイオフとは銀行が破綻したときに、1000万円とその利息が保護され、それ以上は保護されないという制度です。
日本振興銀行が倒産して儲けた話
2010年に日本振興銀行が倒産しました。
実はこのとき、私は日本振興銀行に1000万円の貯金をしていました。
当時、年利2%という破格の利回り、当時でも突出して高い金利で注目されていました。
最初は何かの詐欺ではないかと疑うほどで、預金を金融機関の窓口で振り込む際に振り込め詐欺ではないかと銀行員の人に確認したことを覚えています。
2%もの高利回りが経営を圧迫し経営破綻しないだろうかと考えましたが、仮に倒産しても1000万円までなら元本保証されるというペイオフの内容を踏まえて、上限いっぱいの1000万円を預けました。
契約:2010年
満期:10年
年利:2%
このときに考えたことは、本来10年待たないと年利2%の利息が付かない定期預金が、途中で倒産した場合は倒産した時点までの預け入れ期間でも2%の利率が適用されるのではないかということでした。
破綻してくれた方がお得?!
そんなことを考えていると本当に半年後に倒産してしまいました。
そして日本初のペイオフ発動、1000万円以上預けていた人は戻ってこないお金が発生し、ニュースなどでも連日、預金者の悲鳴が報道されました。
①別の銀行に預金を引き継ぐ
②預金は途中で解約し利息とともに受け取る
別の銀行に預金を引き継ぐ場合(①)は、引継ぎ先の銀行の利息が適用されますのでとても低い利率で残りの満期までの期間運用することになりますのでまったく魅力がありません。
よって定期預金を解約し利息と一緒に受け取る(②)ことにしました。
私の場合は予想した通り、(本来10年預けないと利息がもらえなかったのが)たった半年預けただけで年利2%の利率が適用され、10万円ほどの利息が手に入りました(実際に入金されるまで数カ月かかりましたので実質年率はもう少し低いですが)。
銀行倒産への対策
1995年にペイオフ解禁以降、預金は全額保護されなくなり、2003年からは銀行が倒産した場合、1000万円とその利息以上は保証されなくなりました。
銀行が破綻することが珍しくない昨今では、1つの銀行に1000万円以上は絶対に預けないということを守らなくてはなりません。
注意点としては、1000万円は保証されるのですが、いつ返金されるかはわからないということです。
ペイオフの制度には「いつまでに」ということが明記されていないのです。
私の場合、日本振興銀行が破綻してから約3カ月後に入金がありました。
しかし他の人がどれくらいの期間で預金が戻ってきたのかはわかりません。
上にも書いたように、銀行破綻後は預けていた預金をどうするかの選択などの事務手続きで時間を要し、1~2カ月は最低でもかかります。
銀行が倒産した時は、すぐにお金は戻ってこないということを認識しておいてください。
さいごに
銀行が倒産するとその銀行に資金を借りていた中小企業が倒産し、さらにその中小企業に資金を貸していた全ての銀行は融資の焦付きで経営状態が悪化するという負の連鎖が起こります。
銀行が潰れるなどとあまり考えませんが、銀行がどんどん倒産する時代がやってきています。
就職先として人気のあった「銀行」が今や就職先の候補には挙がらないと聞きます。
外国ではドイツ銀行の経営危機がニュースになり、ドイツ銀行の破綻をきっかけに世界恐慌もあるのではと言われています。
銀行は倒産しうるという認識は今後ますます重要になってくるでしょう。
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